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労働問題解決サポート さむらい会

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中小企業のための合法的な残業代削減対策について

労働基準監督署による臨検監督(立ち入り調査)の結果、多くの企業で法令違反として是正勧告の対象となっているのが「時間外労働に対する割増賃金不払い」の問題です。

国は毎年6月と11月を重点月間として、集中的に指導にあたっています。

この問題は事前の対策によって、そのリスクを軽減できますが、仮に放置していれば企業経営に大きなダメージを与える問題です。

割増賃金(不払い)の実態について

・労働基準監督署の是正勧告ワースト2が割増賃金の不払い(ちなみにワースト1は労働時間についてです)

・毎年6月と11月は労働基準監督署の割増賃金不払いに対する重点監督月刊
・社員(退職した者も含む)の公的機関等(労働基準監督署、総合労働相談コーナー、労政事務所、労働組合など)への駆け込み相談が急増
・送検(6ケ月以下の懲役または30万円以下の罰金) 
・訴えられた時点から最大2年分の遡及払い

割増賃金の不払いをそのまま放置すれば、会社の経営を揺るがす重大な門内に発展!

最大2年分の遡及払いとは

仮に次のような会社が残業代を全く払っていなかったとしたら、
2年分遡及払いで・・・
・社員数60人
・社員の平均賃金月額30万円
・1ヶ月の所定労働時間170時間
・1ヶ月平均残業時間30時間
(30万円÷170時間)×1.25×30時間×2年
=約160万円
160万円×60人=約9,600万円
この9,600万円と言う金額は2年分の遡及払い分のみです。
当然、将来に渡って割増賃金(上記の例で言えば毎月400万円)を支払わなければなりません。
仮に遡及が3ヶ月だったとしても、過去分だけで1,200万円も支払わなければならないことになります。

割増賃金の支払い状況確認

次の項目を早急にチェックしてみて下さい。
①36協定書を今年は届出していない
②タイムカードは使っていない
③残業時間は30分単位で計算している
④次の残業時間は、上限を決めて割増賃金を払っている
⑤基本給を対象に割増賃金を計算している
⑥営業担当者には営業手当を支給し、割増賃金は払っていない
⑦係長以上の役職者には、割増賃金を払っていない
⑧残業時間が1カ月80時間を超えることもある

これらいずれかに該当する場合には、割増賃金に関連する是正勧告の対象となる可能性が大きいです!

「合法的な残業代削減対策」

このような割増賃金不払いも、次のような事前の対策を取ることで、合法的に削減可能となり、会社の負担を軽減することができます。

(1)労働時間の適正な把握と管理を行う
→タイムカードの利用も含め、まずこれが基本です。
(2)自社の業態、さらに各部署の実態に合った労働時間制度の導入
→同じ会社でも営業職・技術職・事務職と職種が異なれば、それに即した労働時間制度の採用が可能です。1ケ月単位・1年単位変更労働時間制・みなし労働時間制・フレックスタイム制など実態に合った制度を導入します。
(3)割増賃金の計算方法の適正化
→算定基礎、残業時間の算出方法などを正確に理解し、運用することが大切です。
(4)固定的残業代制度の導入
→基本給や手当の一部にあらかじめ割増賃金の一部が組み込まれている制度の設計・導入を行います。
(5)労働時間に関する協定や、就業規則等の整備・届出を行う。
→完成した対策案をきちんと明文化し、届出も行うことで法的な裏付けを確保します。

未払い残業代請求の際のポイント

1.未払い残業代(サービス残業)の証拠

時間外労働の未払いの立証は、証拠の確保が全てと言えるでしょう。
業務スキルに関わらず、勤務時間外で働いたという事実から計算されるものです。

最良の証拠は・・・・
・勤怠の記録の【タイムカードのコピー】
・勤怠システムの【データを出力】したもの


就業期間中の全てがあると有利になりますが、1か月分だけでもサービス時間外労働があれば未払い金を請求する際、はるかに有利となります。
上記がない場合の、望ましい証拠として

・勤務時間が記載してある【業務報告書】
・手帳に記載した勤怠時間の【メモ】

これは、30分単位で記載されている、タイムカードに比べると、大まかな数字になってしまいますが、少なくともその時間はサービスで労働していたという有力な証拠になります。
ただし、客観的に記載されたものではありませんので、信用性という点で劣ることは否定できません。
しかし、勤怠の時間を、そのときに行った業務内容とともにメモしておけば、それだけでも信用性が増してきます。
未払いのサービス時間外労働はなるべく客観的・機械的に記載された資料の確保が重要となります。 

2.就業規則・給与規定等の証拠
時間外労働賃金は、所定労働時間(雇用契約で定めた就業時間)を超えた労働時間について、基礎賃金(残業代を計算する際の基礎となる賃金)をもとに計算したうえで、すでに支払われている時間外労働手当を控除して算出されます。
この控除される、支払い済みの時間外労働手当というものは、会社によっては「~手当」という名称のもとに就業規則・給与規程で規定されている場合があります。
そして、この就業規則や給与規程は、社員がいつでも見られるような状態で会社に備え置かれていないと無効になりますので、その点もご注意ください。 

3.勤務記録が手元に無い場合は?
タイムカード等の勤務記録の一部または全部がない場合でも、サービス時間外労働の未払い賃金の請求を起こすことは可能です。
「会社は、勤務記録を当該労働者が退職してから3年間保存しなければならない」と法律に定められているので、会社に勤務記録等を開示させたうえで未払いの時間外労働賃金を計算することが理論上はできます。
ただし、交渉段階で会社に対し任意に勤務記録等の開示を求めても、会社が開示に応じないことがあります。
その場合は、裁判を起こして裁判所から勤務記録等の開示命令を出してもらうことになります。
なお、最近、タイムカード等の勤務記録が改ざんされたという事例も数多く見受けられます。
会社から改ざんされた勤務記録が出てきた場合、改ざんであることを証明するのはかなり難しくなります。

4.残業代の時効は2年
時間外労働代を含め賃金の請求の時効は2年です。
2年間請求を行なわないと、時効により消滅してしまいますから、今からさかのぼって2年間分しか請求できません。
仮に上記の場合のように、途中から残業代が支給されるように変更された場合、請求できるサービス時間外労働の未払い分がどんどん減って、最後にはなくなってしまいます。

5.退職した会社に対して請求
「今働いている会社に未払い分を請求すると、上司から嫌がらせを受けそうだしちょっと・・・」と思う人が、退職した後の会社に対して請求する、または退職と同時に請求をする、という者が増えています。

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