労務管理上の問題、労使間のトラブル、労働問題全般、労働基準監督署への対応等を専門に受けているプロ集団
労働問題解決サポート さむらい会
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解雇に関する相談は、相談件数の中でも非常に大きなウェイトを占める部分です。
色々な形での相談がありますが、一例を挙げて説明させていただきます。
質問
弊社では新たなパートタイマー従業員として、Aさんを雇用し始めました。
他の従業員と仲良く仕事ができるだろうか、と心配しておりましたが、その心配は希有に終わったようで、すぐに他の従業員と仲良くなりました。
しかし、暫くしてから他の複数の従業員が「Aさんが私たちの悪口を言っている」と相談してきたのです。
よく話を聞いてみると、Aさんは陰口をたたく癖があるようで、休憩中に従業員間で話をしている時でも、その場にいない人の悪口を言っているというのです。
今まで社内はとても明るい雰囲気だったのですが、この件以降重苦しい雰囲気が漂っています。このような場合(試用期間中の)Aさんを解雇しても問題はないですか?
社長様のお気持ちは大変分かります。優秀な人材を確保しようと時間とお金をかけて、いざ勤務してもらうと思ったように働いてくれない。また、それだけでなく今回のように和を乱す人がいます。そういった人が一人でもいると全員に波及し、職場全体の雰囲気が悪くなってしまします。
今後のことを考えると、一番良い対処方法はAさんに退職していただくことだと言えます。しかし、いくらAさんが試用期間中であっても一方的に解雇をすると大きなトラブルに発展する可能性があります。
なぜなら、
『1』を解雇の理由にするためには、基本的にその内容を書面にして第3者にも分かるようにする必要があります。しかし、恐らく悪口を言われた従業員の方はその事実を書面にすることを嫌がるでしょうし、Aさんを目の前にして『悪口を言われた。』とは言いにくいものです。
よって、言った言わないの水掛け論となり、最終的には事業主が全責任を追う羽目になりかねません。
『2』は、労働基準法(以下「労基法」という。)の法改正で新たに設けられた基準です。 どういうことかと申しますと、事業主は、解雇になり得る事由を予め就業規則に定めて、従業員に知らせておかなければならないことになったのです。これは、事業主の裁量によって従業員を解雇しない効果を狙ったものと考えられます。
今回の事由は、御社の就業規則に解雇事由として該当するものがありませんので労基法上、解雇できないことになります。
『3』が、トラブルになる可能性が最も高いのです。なぜなら一部の労働者には6ヶ月程度働いた後、自ら解雇されるようにトラブルを起こす人がいるからです。
なぜ、そのようなことをするかというと、事業主が労働者を解雇すれば解雇予告手当として、30日分の賃金を支払う義務を負い、一方労働者は、その手当を受け取る権利が発生するからです。これはパートタイマーであっても変わりません。
また、6ヶ月間勤務して退職すると雇用保険から求職者給付(一般的には、『失業保険』と呼ばれている。)が最長90日分支給されることになります。さらに従業員の自己都合で退職した場合は、その求職者給付が支給されるまで3ヶ月間も待たなければならないのですが、解雇された場合は申請後7日を経過すれば支給対象期間が始まるのです。
つまり、始めからこの結果を目論んでいる人にとっては、解雇される方が好都合になる訳です。
このような方への対応は、本当に大変です。自ら果たすべき労働の義務を怠り、労働法に定められた自らの権利ばかりを主張します。そこで頭に血がのぼって、キツイ言葉を発してしまえば、相手の思う壺になってしまいますので、お気をつけ下さい。
以上のように、解雇には様々なリスクが伴いますので、できる限り冷静な対応をお願いします。
ある程度問題が複雑化してしまってからでは、修復するのが非常に困難となってしまいますので、問題が発生しそうな場合には、予防策の意味でも「特定社会保険労務士」等の専門家にご相談されることをお勧めいたします。
不当解雇と言われたら?~すべきことは?解雇撤回?解雇予告手当てなど請求?
●まず、確認
「退職勧奨(自己都合でやめなさい)なのか?「解雇」なのか、はっきりしてもらう。
このことは、その後解雇予告手当や退職金、失業保険の待機期間に関係してくる重要なことです。解雇であれば「解雇通告書」を書面で貰っておく事が必要となります。
ボイスレコーダーなどで、上司(社長)とのやり取りを録音録音機している場合もあります。
●退職勧奨の場合
辞めたくない場合は、はっきりと退職の意思がないことを会社に伝えます。直属の上司の独断で退職勧奨を受けている場合などには、会社宛に内容証明郵便で自分の意思を伝えることにより、しつこい退職勧奨が無くなる場合もあります。度を越えた退職勧奨は退職強要にあたり、賠償請求をすることができる場合もあります。
●解雇の場合
解雇であるにも関わらず、退職願を書くことを強要されることがしばしばありますが、絶対に退職願を書いてはいけません。退職願を書いてしまうと、会社が「解雇ではない」と言い、解雇予告手当ての支給がなされなくなります。また、雇用保険の受給も、3ヶ月の待機期間が必要になります。(退職願を書いてしまっても、それが強要されて書かされたものであれば撤回できるということになってはいますけれど、実際、退職願いの撤回は難しいです。もちろん、諦める必要はありませんが・・・)
辞めたくない場合は、解雇撤回を。辞めてもいい場合は、なるべく良い条件で辞められるように動くことになります。
労働基準法が改正され、会社は簡単に労働者を解雇できなくなりました。客観的に見て、「解雇」は『やむを得ない』ということでなければなりません。
整理解雇の4要件を満たしているか?解雇撤回要求は可能か?考えてみる必要があります。
整理解雇の4要件
「合理的な理由もなく社会通念上も相当と認められない場合、企業は解雇権を行使出来ない」という、最高裁判所の判例もあります。これらの要件を満たしていない場合は、不当解雇と言わざるを得ません。会社に対しては解雇撤回要求もすることができます。実際はなかなか難しいですが、内容証明郵便で撤回要求をしたところ、そのまま働くことができた人もいます。
・整理解雇の必要性
解雇しなければらないのか喧嘩
・解雇回避の努力
他の方法で経営を立ちなおらせることはできないのか
・整理基準と人選の合理性
客観的資料が存在すること。評価者の主観に左右されないこと。
全社員を対象としていること。
・労働者との協議
労働者本人と協議をしたか
解雇を言い渡されて、本当は解雇されるのは困るけれど、このまま働き続けるのも・・・という場合、請求できる場合があるのは
・解雇予告手当て
解雇通告日と退職日によって、解雇予告手当てがもらえます。
・未払いの残業代
今までしてきたサービス残業代です。
・退職金・上積請求
交渉次第ですが、不当解雇を受け入れる代償として請求する場合があります
・雇用保険
雇用保険に加入していない場合、失業給付がもらえない・・・と、諦めることはありませ ん。2年前までさかのぼり、加入することができます。その手続をとってもらって、給付金を受け取れるようにしてもらうことが可能です。
解雇に関するトラブルを未然に防ぐためには、次の2点を守っていただくと効果的です。
1.30日分の解雇予告手当を支払うこと
(解雇する日の30日前に通知しても可)
2.解雇する理由を十分に説明すること
たったこの2点を守っていただくだけで、トラブルを防ぐ可能性がグンと高くなるのです。
なぜなら、『1』を行うことによって、(解雇について)労働基準監督署は、事業主に対して強い指導ができなくなるからです。
なぜでしょうか?
従業員を解雇するためには、『1』の他に次の事由もクリアしなければなりません。(詳細はこちらをご覧ください)
◆ 社会通念上相当であること
◆ 客観的に合理的な理由があること
◆ 就業規則に解雇となる事由を記載すること
法律の原則を言いますと、確かに以上の理由が必要となるのですが、実務上はあまり問題にはならないのです。
実は『合理的か』、『社会通念上妥当か』という判断は労働基準監督署ではできないのです。
では、どこの行政機関が判断するのでしょうか?
それは、何と裁判所なのです。
ですから、『1』を守っていれば、労働基準監督署は強い指導ができなくなるのです。
「でも裁判をおこされたら、困るじゃないか!」というあなた、そのために『2』を守っていただきたいのです。
なぜ十分に説明する必要があるのかといいますと、従業員にとって解雇の理由が明確でないと納得できませんし、事業主が逃げているように見えるからです。
しかし、事業主が本気になって従業員と向かい合い、解雇の理由を説明すれば納得させることが出来なかったとしても、説得させることは可能なのです。
そして、説明をする際にもう一つ気を付けていただきたいことは、“なぜ、あなた(従業員)にこの職場で仕事を続けてもらうことができないのか。”というニュアンスで話していただくことです。
人は、感情で行動する生き物ですから、そういった些細な気配りで相手の自尊心を保つことができるのです。真摯な態度で話し合いをしてください。
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