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労働問題解決サポート さむらい会
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解雇は、労働者にとって大変重大な制裁です。簡単に認められてしまうと「労働者保護が不十分」ということになってしまいます。よって、判例(裁判所の考え方)を基に、労働基準法・労働契約法が、解雇の取り扱いを次のように定めています。
つまり、解雇が認められるのは、「労働者側に改善の余地がないほどの責任がある場合」などのごく限られたケースしかないことになります。しかし、逆に言えば、「労働者側に責任があることが客観的に証明できれば、合法的な解雇は可能である」ということになるのです。
「もう明日からこなくていい!今日でクビ!」は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」ので、解雇をすることは原則無効ということになってしまいます。
よって、「今日でクビ」と言われた社員が出社してこなくなった場合でも、法律的に有効に社員の身分を失うまでは、会社は賃金等の保障義務が発生してしまうのです。
会社からしてみれば、「クビにしたつもりの社員(しかも仕事をしていない)に賃金を払わなければならない」といった事態を招くことになるのです。
景気が良い時代であれば、再就職先が容易に見つけられたので、辞めさせられる方は、理不尽だと思いながらも、次の仕事探しへと切り替えをしていたのですが、不景気のため前職と同程度の条件で再就職先を見つけることは非常に困難な状況となっているため、上記の「解雇要件」にある程度精通している者は(本人は知らなくても、周りの人間が唆す場合が多い)、泣き寝入りせずに法的な手段で訴えてくることが間々あります。そして裁判所が出す判決は「解雇無効」となるのです。そうなると解雇したと考えていたときから現在までの本来勤務していれば支給するはずだった金額だけではなく、その額と同額の制裁的な意味合いの「付加金」の支払いまでも命じられることになるのです。
解雇に関しては、今までに数々の判例が出されているため、裁判に勝てるか勝てないかは、解雇の時の状況等を分析することで、簡単にジャッジすることができるのです。
解雇は慎重に、専門家の意見を聞きながら行う必要があるのです。
解雇が有効と認められるためにはいくつか条件があります。
の全部を満たしてないといけません。1つずつ詳しく見てみましょう。
労働基準法第19条(休業期間+30日間)や労働基準法第3条(国籍、信条等)の違反については、解雇が無効になるだけでなく、労働基準法違反として6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金も科されます。
退職勧奨(会社側から「辞めてくれないか?」という退職の勧め)によって退職する場合は解雇には当たりません。もちろん、従業員の自発的な意思があって退職することが前提ですので、退職を強制していた場合は認められません。
労基法第20条で、解雇するときには解雇の予告を行うことが義務付けられています。
平均賃金とは、3ヶ月前から今までの間に支払った給与(ボーナスは除きます)の総額を、その期間の総日数で割った金額のことを言います。
例えば、6月30日付けで解雇する場合は、少なくとも5月31日には解雇の予告(1.予告解雇)をしておく必要があります。
若しくは、6月10日(解雇日の20日前)に解雇予告をして、10日分の平均賃金を支払えば(1.と2.を足して30日以上)、6月30日付けで解雇することが可能になります(労働基準法違反とはなりません)。
「どうして、こんな奴に解雇予告手当を支払わないといけないのだ!」というケースもあるでしょう。労基法第20条には続きがあって、
は、予告解雇や解雇予告手当の支払はしなくても構いません。
ただし、このときは労働基準監督署の「解雇予告除外認定」を受けないといけません。この「解雇予告除外認定」を受けないで(予告解雇や解雇予告手当を省略して)解雇すると労働基準法違反になります。
2.の場合の「解雇予告除外認定」を受けることができる事例として、次のようなケースが例示されています。
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これらは例示されているもので、これに値するような重大で悪質な行為については、解雇予告除外認定を申請すれば認められます。個別の事案については、最寄りの労働基準監督署にお問い合わせ下さい。
更に、解雇予告には続きがあって、労働基準法第21条で予告解雇や解雇予告手当が不要な従業員について定められています。
試用期間中であっても、入社日から15日目以降(暦日)になると予告解雇か解雇予告手当が義務付けられます。試用期間中は解雇予告はいらないと思っている方もいますが、それは間違いです。
従業員が10人以上のいる場合は労働基準法により、就業規則を作成して労働基準監督署に届け出ることが義務付けられています。
そして、就業規則に必ず記載しないといけない事項の1つに「解雇の事由」が定められています。
就業規則で、「こんなことがあったら解雇しますよ」と解雇の事由(理由)を具体的に列挙するのですが、解雇をスムーズに行うためには解雇事由をキチンと整備しておくことが大切です。
解雇をする事由が明確だと、これに該当するかどうか判定しやすいので、トラブルも少なくなります。
そこで、従業員が何か問題を起こしたときに、就業規則の解雇事由に該当すれば問題ないのですが、解雇事由に該当するものがないのに解雇したときは、その解雇は「無効」と判断されます。
なぜかと言うと、就業規則で具体的な解雇事由を定めたということは、裏を返せば「これに該当しない場合は解雇しません」と言ってることと同じと解釈されるからです。
ですので、解雇事由の最後の条項に「その他前各号に準ずる事由があるとき」と包括的な規定を設けるのが一般的ですが、想定される解雇事由をできるだけたくさん列挙することが望ましいです。
特に懲戒解雇の場合は、列挙した事由以外の理由で解雇を行っても無効と判断されます。
もう1つ大事なことは、処分が公平なことです。例えば、無断欠勤が多いという理由でAさんを解雇したい場合で考えてみましょう。
以前にも無断欠勤がAさんと同じくらいのBさんがいたけれども、Bさんは勤務成績が優秀だったので解雇しないで、それを黙認してきたのであれば、Aさんの解雇は認められない可能性が高いです。
日頃から、何かあったときには就業規則に基づいてキチンと運用することが重要です。就業規則を大切にすればするほど、就業規則は後で役立ってくれます。
従業員が10人以上いるにもかかわらず就業規則がない会社や10人未満で就業規則の作成義務がない会社はどうなるのでしょうか。
その場合でも解雇できないことはありませんが、基準がないのでトラブルになる可能性が高くなります。
最終的には裁判所の判断に委ねられるのですが、裁判では労働者保護が優先されるケースが多く、会社側に対して厳しい判断がなされるのが一般的です。
解雇だけでなく、何か問題が起きたときに最初にあたるのが就業規則で、就業規則で取扱いが明確になっていれば問題が起こりにくくなります。
ですから、10人以上の会社はもちろん、10人未満の会社でも就業規則を作ることをお勧めします。
従業員を採用する際は、賃金や労働時間その他の労働条件を書面で明示しないといけないことが労働基準法で定められています。
この労働条件の中には「退職解雇の事由や手続き、定年年齢など」も含まれています。したがって、10人未満の会社も「解雇の事由」については考えないといません。
また、考えるだけでなく、書面で残さないと意味がありません。
懲戒解雇は懲戒処分の極刑で、退職金を不支給としたり一部減額するケースが多いです。
したがって、懲戒解雇が認められるためには、これまでコツコツ積み重ねてきた退職金の支払を帳消しにするほどの重大な理由が必要となります。一般的に懲戒処分として認められるのは、
などです。
普通解雇の例として、就業規則で定められているものは、
などです。
分かりにくいですね。懲戒解雇の場合はある程度納得できると思いますが、普通解雇の場合はどこまでなら解雇していいのか具体的な基準がありません。
最終的には、その解雇に合理的な理由があるかどうか、裁判所の判断によるのですが、判例から基準といったものを引き出すのは困難です。
例えば、トラック運転手が茶髪にして解雇された事件では、解雇無効と判断されました。しかし、これが葬儀屋さんだったらどうでしょうか?認められるかもしれません。
つまり、個別の事例ごとに結果が異なるわけです。
例えば、横領など懲戒解雇の事由に該当している言動があったときは解雇しても問題ありません。ただし、会社の勘違い等があるといけませんので、最低限、本人の言い分を聞いておく必要があります。
解雇でよくトラブルになるのが、「何の理由もないのに、いきなり解雇された」というものです。会社側にとっては解雇するだけの十分な理由があると思っているのに、本人がそれに気付いていないケースです。
会社と本人とで意見が食い違いやすいのは次のようなケースです。
これが1回キリだった場合は、解雇は認められないと理解してもらえると思います。
このような行為が繰り返し行われたとしても、いきなり解雇はいけません。注意していなければ、そのような行為は黙認されていたと判断されて、解雇も無効になってしまいます。
このようなケースで解雇するときは、再三注意しておくことが必要です。手順は次のとおりです。
自分のことを問題社員だと思っている人は余りいません。
注意されなければ、本人は気付きません。このような手順がなく解雇されれば、「何の理由もなく、突然解雇された」と思うのが普通かもしれません。
実際に口頭で注意していたとしても、黙認されていたと反論されます。証拠(書面)がなければ注意をしていた事実を証明することは難しいです。
確かにこの手順どおりに解雇しようと思えば、相当な時間がかかってしまい面倒です。しかし、解雇というのは従業員にとっては極刑に値するものですから、細心の注意が必要です。
会社を守るためにも、解雇を行うには、このような手順が必要であることを理解しておいて下さい。
口頭でも解雇は成立しますので、手順を踏む前は、どんなに腹が立っても、「クビだ!」「辞めろ!」「明日から来なくてよい!」などと言わないことです。
これを言ってしまうと、「その解雇は無効なので、さかのぼって給料を支払え!」「職場復帰を認めろ!」「慰謝料をよこせ!」などの要求が出てきて、相手の思うツボです。
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